神田将ブログ yksonic life神田将の音楽生活や日々のメッセージを綴るブログです。

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音楽相撲 19:17
延々と続くひとりでの作業と稽古。こんな私のことでも、さまざまなイベントやパーティに誘ってくれる奇特な人々が周囲にたくさんいます。私が滅入っていないだろうかと心配して、景気づけにプライベートな食事に連れ出そうとしてくれる友人もたくさんいます。

その度に「待ってました」と気持ちが動くのですが、同時に「そんな場合じゃないだろう」と強く抑制する内なる力が働きます。盛り上げてくれる人の顔を見て、外の空気を吸えば、勢いを増して効率を上げられるかもしれない。

でも、すでに途中まで登って来た岩山を、麓まで下りることは今更できません。やはり、頂に達するまでは、踏ん張り続けるのが賢明です。誘ってくれた皆さんには、愛想なしで申し訳ありません。
 
今月だけで50曲近くを仕上げているのですが、最後に残るのは、「苦手」かつ「複雑」な作品です。私は音楽を感じるままに表現したり、演奏に思いを注ぎ込むことは得意な方ですが、中には直感的なアプローチが難しく、じっくり解釈する必要のある作品も少なくありません。

こうした作品は、なかなか自分の中に染み渡らず、何度弾いても体が自然と動いてくれないという感触です。単純に稽古が足りないとか、自分に合わないということでは片付けられない「何か」があるような気がします。

作品と真剣に向き合った状態は、孤独なようでいて、ひとりではありません。いわば、音楽と相撲を取っているような感じでしょうか。互いに全力で向き合いながら、まったくビクともしない。そんな状態です。

そんな中、ひとつ気付いたことがあります。先週のコンクールで、見事な演奏をしながら、金賞を逃した人たちのことを考え、受賞できなかった理由はなんだろうかと考えていた時のこと。

審査に異論はありません。フェアに審査し、次にコマを進めるのに相応しい人が選ばれたのだと思います。音楽はスポーツと違い、一目瞭然とはいかないので、全員が明快に納得できる審査結果がでることは、むしろ稀でしょう。

そうか、ステージでは一人で演奏しているようでいて、実はみんな「作品」という相手と相撲をとっているのか。その相撲に勝った人が金賞を取っていった。そう考えると、審査結果により一層納得することができました。

クラシックの大作を、その作品に相応しい芸術的な出来栄えで演奏するのは、至難の業です。プロフェッショナルな音楽家が、ステージで何百回もの演奏経験を重ねて、やっと聞くに値する演奏に磨かれていくのですから。

コンクールのためににわかに選曲した作品を、たとえ必死で稽古したとしても、1年足らずの準備で芸術の域に達するなど、ある意味不可能です。結局、大作を選んだ人は作品との相撲に勝てなかったのです。

そうなると、ポピュラーや自作曲の方が、高い完成度で当日を迎えるという面では有利かもしれません。でも、クラシックを好み、得意とする皆さん、ぜひ安易に賞を狙うことばかりに振り回されず、長期の視点でもって自分の音楽を完成に導く努力を重ねて下さい。

瞬間風速で脚光を浴びても、それは実力にはなりません。生涯の糧となる経験とは何かをじっくりと考えましょう。そして、作品との相撲に勝って、何度でも聞きたくなるような演奏を実現しましょう。
| ミュージックライフ | comments(7) | trackbacks(1) | posted by 神田将 (かんだゆき)
Comment








将さま・・・。。。。。。。

私もパソコンと写真の世界と相撲をとっているので、ブログにひたすら納得です。。。。。。

「1年足らずの準備で芸術の域に達するのはある意味不可能です。」の将さまの言葉に私も同じ思いです。。。

だから、上司が私に「あなたの趣味、夢が叶うと良いわね〜〜〜〜。」の言葉に「いいえ、趣味ではありません。ライフワークです。」・・と宣言したのでしょうね。

上司は???でしたが、その言葉で奮起したのですから感謝しています。。。。。

「いつ出来るの?」の周りの言葉には、「・・・・。」の私を通しています。。。(何時、なんて気軽に答えられませんもの。)

ひたすら、コツコツの努力ですよね。。。

キャラは相変わらずですが、1人の時は、クリエイティブモードの真剣な私。。。でも孤独を感じたことはありません。。。

・・・という、私でした。。。。。。。。。

音楽相撲・・・、続けて下さい。(私もです。)
posted by 真理子 | 2010/09/25 9:12 PM |
ふうん
posted by おぐけん | 2010/09/25 10:09 PM |
私も大阪ファイナルを聴きに行って、ダントツで金賞だと確信していた子(先生と同じ子のはずです)が違っていたので、ずっと悶々とした日々を送っていました。神田先生の「音楽相撲」を読ませていただき「ホントその通り!!!」って、やっと胸につかえていたものがとれました。ありがとうございました。私が応援している姉妹は、本当に素敵な音楽を奏でてくれます。神田先生と出会って、音楽性も人間性も磨きがかかって、これからがますます楽しみです。神田先生のご活躍もブログもとても楽しみにしています。お身体に気をつけて、ご活躍ください。応援しています。
posted by リコママ | 2010/09/26 9:17 PM |
真理子さん
真剣な真理子さん、天然の真理子さん。どっちがどっち?とわからなくなることもありますが、それこそが真理子さんですね。

おぐけん
ふうんとはなんじゃい。

リコママさん
出演した人は、だれもが我こそはという思いを持っていたはずですから、手ぶらで帰るのは気が重かったことでしょう。でも、賞そのものよりも、大きな舞台で何を経験したかが大切ですので、そこに気付けた人は大きな成果を持ち帰ったことでしょう。
posted by 神田将 | 2010/09/26 10:00 PM |
将さま・・・・。

「真剣」モード、「天然」モード・・正に名言です。。

私の心の中に[:オン:]と[:オフ:]のスイッチを持っていて、切り替わるのが自分にしか解らないらしい。。。

皆さん最初は???ですが。「だんだん慣れた。」・・・・・、と言ってくれています。

かしこ。。。。。
posted by 真理子 | 2010/09/26 10:59 PM |
音楽と相撲・・・名言ですね。
私はまだ、楽器と相撲しています。
(^▽^;)

楽器とタッグを組んで音楽と相撲できるのは、
まだまだ先の様です。


なかなか打ち解けてくれない楽器ですが、
相性はいいみたいなので、じっくりと向き合っていきたいと思います。
posted by 加寿美 | 2010/09/27 12:17 AM |
加寿美さん
時間を掛けてじっくりと解きほぐした関係は、きっと生涯長続きすることでしょう。相性がよいのならなおさらです。
posted by 神田将 | 2010/09/29 1:09 AM |
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| コウキ商事からのお知らせ | 2010/09/26 12:01 PM |
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